地球に恋する研究者〜生物多様性の未来〜

生物多様性と地球環境に関する研究の紹介と女性科学者の日記。

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SREXを読み解く

今週から南アフリカでCOP17(気候変動枠組み条約締約国会議)が始まりましたね。
そのCOP17を見据えて、先週発表されたSREXの政策決定者向け報告書ですが、
科学者たちの声はCOP参加者に届くのか、成り行きが気になります。

ところで、SREXの日本語訳が分かりにくいようなので、
今日は少し解説を試みたいと思います。

まず、環境省の翻訳文の最初の項目から。

「リスクが現実化した時、暴露と脆弱性は災害リスクと影響の主要な決定要因となる」

これだけ読むと、なんだかよく分からないですよね〜。

ちなみに英文は、

Exposure and vulnerability are key determinants of disaster risk and of impacts when risk is realized.

となっています。専門用語が分かれば、なんとなく分かるかな、という感じ。

それでは、用語の説明から始めます。


Exposure
地球温暖化は地球規模で起こりますが、
その影響はどの地域も均一なわけではありません。
一般的に緯度の高い地域は、より気温が上昇しやすい傾向にあり、
これを、「高緯度地域はexposureが大きい」と言います。

例えば、津波に対するexposureは、
沿岸部は大きく、内陸部は小さい、
と言えるでしょう。

このように、exposureは、「影響の大きさ」を表します。


Vulnerability
小学校の頃、インフルエンザが流行るとすぐに感染してしまう子と、
全く病気にならない子がいませんでしたか?
同じ温度と湿度の教室の中に居ながら、ウイルスに感染するかどうかは、
個人の持っている免疫力など、体が強いか弱いかで変わります。

暑い日に運動会があると、熱中症になってしまう子もいますが、
平気な子は平気ですよね。それも同じこと。

同じ環境の中に居たとしても、害が発生するかしないかは、
受けて側が影響の受けやすいかどうか、に関係します。
この「災害や環境に対する弱さ」が、Vulenrability です。

Disaster risk
リスクとは確率のことです。
つまり、「災害にどれくらいなりそうか」ということ。
ただし、災害のもとになる物理的な変化(台風、地震など)が起こる確率ではなく、
それらが起こったときに災害(=大きな被害を受ける)となる確率を指します。


それでは、最初の文章を書き換えてみます。

「台風や寒波など、異常気象が起こるとき、
その影響を受けやすい地域や時期なのか、ということと
影響を受ける人や物が、どれほど耐えられるのか、という条件により、
災害が起こる可能性と、その被害の大きさは変わってくる。」

例えば、2回同じ強さの台風に見舞われたとしても、
1回目は被害はなかったけど、
既に地盤の緩んでいた2回目は大きな被害となるかもしれない。
被害の大きさは、台風の強さだけでは決まりませんよね。

この文章は単にそういうことを意味しているのです。
(所詮イントロ部分ですから、そう難しいことは言っていません。)

少しは分かりやすくなったでしょうか・・・?


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